薄いコンパクト防音の基本

薄い防音対策の基本、豆知識について綴ります。とくに防音材などの施工要領・工夫について述べます。

吸音材の活用・分析

防音材は、遮音材、制振材、吸音材の3つを総称したものです。

ある程度の厚さのある構造体では、これらの3つの素材を組み合わせて防音構造を構築するのが有効です。

中でも吸音材は軽量であるため、天井裏や床下、壁内に入れることで構造体の防音性能を高めます。通常、質量則を超えた遮音効果が出ます。

透過損失は周波数帯によってばらつきがあり、通常、空気層+吸音材という構成は高音域には有効ですが、概ね250Hz以下の周波数帯では、薄い空気層は逆に共振して吸音性能を低下させます。

このため、吸音材の製品特性を読むには、背後に空気層の無い試験データを見ます。データを見ますと、大半の製品が厚さが大きくなると吸音性が大きくなります。

また、低い周波数帯の吸音率は、素材の違い(ロックウール、グラスウールなど)によって差があることが分かります。遮音材が周波数ごとに透過損失の特性があるのと似ています。

例えば、密度の低いグラスウールは低音域にはあまり効果がないという特性があります。高音域でもロックウールに比べて効果が低いことが現場での測定で明らかになっています。(素材の特性は防音設計の重要な手掛かりになります)

吸音材は実際の現場での測定データとメーカーの試験データの両方を考慮して選ぶ必要があります。

さらに、製品によって耐用年数が異なり、現在では、ポリエステル(ポリエチレン)ウールが最も安定して耐久性が優れていることが分かっています。

ただし、不燃材として認定されているロックウールのほうが場所を選ばないので、防音工事では一般的に多用されます。